起立性調節障害とは、自律神経のバランスが乱れ、朝起きられない・立ちくらみ・頭痛・倦怠感・動悸などの症状が現れる状態です。
特に思春期前後の子どもたちに多く見られ、学校へ行きたくても体がついていかない…という苦しさを抱えるお子さんが少なくありません。
しかし、ただの「怠け」や「気の持ちよう」ではないということを、まず大人が理解することがとても大切です。
起立性調節障害の背景に「愛着」の問題?
当院では沢山の起立性調節障害の方を施術させていていますが、
体の問題もあるのですが、それと同等に愛着の問題もかなり関係していると実際関わらせてもらっていると、強く感じます。
近年、心と体のつながりを重視する医療や心理の現場では、起立性調節障害の背景に「愛着の不安定さ」が関係しているケースがあることが注目されています。
愛着とは?
愛着とは、乳幼児期から育まれる、親(または養育者)との心のつながりのことです。
安心して泣いたり、甘えたり、助けを求めたりできる関係性が土台となり、その後の心の安定や人との関係性にも影響を与えます。
なぜ愛着が関係するの?
子どもにとって、心の不安やストレスが強すぎると、自律神経にも影響を及ぼします。
「頑張りたいけど怖い」
「甘えたいけど我慢してしまう」
「親の期待に応えなきゃ」
そんな思いが蓄積されると、体のほうが「もう無理」とブレーキをかけてしまうのです。
起立性調節障害は、そのブレーキの一つのサインとも言えるかもしれません。
■ 子どもに必要なのは、「治すこと」より「理解されること」
起立性調節障害の回復には、医学的なサポート(薬や生活指導)ももちろん大切です。
でも、もっと大事なのは「安心できる関係性」です。
お子さんが「どうしても朝起きられない」「行きたいけど体が動かない」と感じているとき、それを責めずに、ただそばで「わかってるよ、大丈夫」と言ってあげられる存在が必要です。
起立性調節障害は、決してわがままでも甘えでもありません。むしろ、頑張りすぎてしまう子、気を使ってしまう子ほど症状が出やすいのです。
親ができるサポートとは?
-
話を遮らずに聴く
→アドバイスよりも「うん、そうなんだね」と共感することが先です。 -
回復のペースを尊重する
→「いつになったら学校行けるの?」はNGワード。焦らせないことが大切です。 -
親自身も安心する
→親が不安な顔をしていると、子どもはさらに「迷惑をかけている」と感じてしまいます。
最後に:愛着は、やり直せる。
愛着の問題は「小さい頃に作られたものだから今さら…」と思われがちですが、実はいつからでも築き直すことができます。
今、子どもが苦しんでいるということは、「もっと深くつながってほしい」という心のサインかもしれません。
子どもが身体で語りかけてくれているメッセージを、親としてしっかり受け取ってあげましょう。
そして「一緒にゆっくり進もうね」と寄り添うことが、何よりの治療になるのです。